「糖質ゼロ」や「糖質オフ」に要注意!「糖類」との違いも解説
健康ブームの高まりから、近頃意識されるようになった「糖質制限」。
スーパーに行くと「糖質〇〇%オフ」と書かれた食べ物や、「糖質ゼロ」とうたわれるアルコール飲料など、たくさんの糖質カット食品を見かけるようになりました。
しかし、よく見てみると「糖質“オフ”」もあれば「糖質“ゼロ”」のものもあります。あるいは「糖類」と表記されているものもあります。
本記事ではこれらの違いや注意点を解説していきます。
正しく理解して、ダイエットや健康維持に効果的な食生活を送りましょう!
「糖質」と「糖類」は違う
「糖質」も「糖類」も似たようなイメージがあるかもしれませんが、「糖類」は「糖質」の一種です。
糖質とは
「糖質」は人間が活動するための重要なエネルギー源となる栄養素です。
炭水化物から食物繊維を除いたものを指し、①糖類、②多糖類(でんぷん)、③糖アルコール(キシリトールやソルビトールなどの甘味料)で構成されています。
糖類とは
「糖類」とは、「糖質」の構成要素の一部を指します。
そのため、厳密には違いますが、大きな括りでは「糖質」と同じものとして理解していても間違いではありません。
「糖類」をさらに細かい分子に分解すると、①単糖類(ブドウ糖や果糖)と②二糖類(砂糖や麦芽糖)に分かれます。
糖類の構成成分であるブドウ糖は、体を動かすエネルギー源となりますが、カロリー源になったり、食後の血糖値を急速に上昇させたりします。
健康のためには糖質の摂取も必要
一般的に「糖=太る」というイメージがあり、摂取を控えている方も多いかもしれません。
しかし、糖質の多くはブドウ糖に変換され、体を動かすエネルギーとして利用されます。
そのため、糖質が不足すると疲れやすくなったり、集中力の低下を招いてしまいます。
また、糖質の代わりとして筋肉をアミノ酸に変換してエネルギー源にするために、筋肉量が減少してしまう可能性もあります。
とはいえ、糖質の摂りすぎもよくありません。
ある程度であればブドウ糖に変換されて肝臓に貯蔵されますが、あまりに過剰に摂取すると、ブドウ糖が血液にのって全身を巡り、血糖値が上昇してしまいます。
血糖値が高い状態が続くとさまざまな臓器に負担をかけてしまい、生活習慣病につながってしまいます。
また、肝臓に貯蔵しきれなかったブドウ糖は中性脂肪として体に蓄えられ、肥満の原因になります。
近年では、糖質の摂り過ぎると、その分解にエネルギーを奪われ、うつ状態になりやすくなるとの精神面への影響も指摘されています。
糖質は適度に摂ることが大切です。
目安としては、1日の消費カロリーの半分ほどのカロリーを糖質から摂取することが望ましいと言われています。
「ゼロ」と「オフ」の落とし穴
糖質の過剰摂取を防ぐのに、「糖質オフ」や「糖質ゼロ」の食品を取り入れている方もいるかと思います。
しかし、「ゼロ」も「オフ」も、食品表示基準法で定められた以下の基準を満たせば表示することができます。
「ゼロ」といっても、実際には全く含まれていないわけではないので、油断は禁物です。
「糖質ゼロ」と「糖類ゼロ」の基準値
糖質も糖類も、食品100gあたり0.5g以下(飲料は100mlあたり0.5g以下)であれば、「無」「ゼロ」「ノン」「レス」といった「含まない」という表示ができます。
よって、「ゼロ」であっても“全く含んでいない”という意味ではありません。
「糖質オフ」と「糖類オフ」の基準値
糖類は、食品100gあたり5g以下(飲料は100mlあたり2.5g以下)であることに加え、比較対象食品に比べて25%以上低減された場合に、「オフ」「低」「ひかえめ」「小」「ライト」などといった「少ない」という表示が可能です。
一方、「糖質オフ」については表示基準が設けられておらず、比較対象食品に比べて低減されていれば、販売者の責任において「糖質○%オフ」と表示することができます。
「糖類ゼロ」には要注意
先に述べたように、「糖類」は「糖質」の一部なので、たとえ「糖類」がゼロでも、「糖質」に含まれる多糖類や糖アルコールなど、その他の糖分で甘さをカバーしている場合があります。
そのため、「糖類ゼロ」と表示されていても、栄養成分表示の炭水化物の項目で糖質量を確認するようにしましょう。
まとめ
ここまで「糖質」と「糖類」の違いや、「ゼロ」や「オフ」の意味について説明してきました。
「糖質」は炭水化物の一部、そして「糖類」は「糖質」の一部だということ、また、「ゼロ」や「オフ」はそれぞれ基準値が定められていることがわかったかと思います。
食品表示のからくりが理解できると、今までは表記につられてなんとなく手を伸ばしていた商品も、より慎重に選べるようになりますよね。
「糖質制限を意識していたはずなのに、気づかないうちに糖質を摂りすぎていた…」なんてことにならないように、ぜひ覚えておいてくださいね。