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2019年12月9日
健康体操

運動しながら認知症予防!『コグニサイズ』でからだと頭の体操

65歳以上の高齢者が日本の総人口の4分の1以上を占める時代を迎え、近い将来、「超高齢化社会」がやってくることは間違いありません。
健康で、元気で、活動的なお年寄りが多い一方で、年齢を重ねると運動機能や頭の機能が徐々に衰えてしまうのも、人として避けては通れない道です。
高齢化比率がぐんぐん上昇する現在、「認知症」の問題がクローズアップされることも少なくありません。認知症と診断されたお年寄りだけでなく、その前段階である「軽度認知障害(MCI)」と推定される人の数も増えてきています。
このような時代背景から、認知症の予防を目的とした『コグニサイズ』は誕生しました。からだと頭のどちらもを体操し、認知症の予防や進行を遅らせる取り組みに注目が集まっています。

『コグニサイズ』とは一体なに?

cognition(認知)+exercise(運動)が語源

コグニサイズは、英語の「cognition(認知)」と「exercise(運動)」を組み合わせた造語で、国立長寿医療研究センターが認知症予防のために開発した取り組みの総称です。
健康のための単なる運動だけでなく、同時に頭を使って脳を活性化させることで、認知症の発症や進行をくいとめる効果が期待されます。
どちらか一方に集中するのではなく、からだと頭のどちらもを一緒にトレーニングする。それがコグニサイズです。

運動内容、実施頻度、設定強度がポイント

コグニサイズを効果的に行うポイントは、運動の内容、実施する頻度、設定する強度の3点です。
■ 運動の内容 : ウオーキング、ステップ、ストレッチ、筋トレなどを上手に組み合わせる
■ 実施する頻度: 大切なのは習慣化であり、毎日少しの時間でも続ける
■ 設定する強度: 自分に合った目標心拍数を定め、慣れたら10分以上の運動を目標にする

認知課題の設定・更新も『コグニサイズ』の要

慣れたら次の課題にチャレンジ

運動すること自体、高血圧などの生活習慣病や心疾患、脳梗塞、認知症のリスク軽減に効果的ですが、コグニサイズは脳も一緒に働かせるために「認知課題」を設定します。
例えば、ステップを踏む動作に合わせて、「事前に定めた数字の倍数で手をたたく」などを認知課題として決めますが、同じ内容の課題を続けていると次第に慣れてきますよね?
一つの課題に慣れてしまったら、別の課題にどんどん更新していく。これが、頭の体操も兼ねるコグニサイズにとって重要です。
簡単にできてしまうものよりも、少し考えたり、注意を払わなければできないくらいの認知課題がベストです。

一人でも簡単にできる『コグ二ステップ』

左右にステップを踏みながら「3の倍数」で拍手

コグニサイズには、様々な運動方法や認知課題があります。その中でも、一人で簡単に行える『コグ二ステップ』は、初めての人にも始めやすい代表的な“からだと頭の運動”です。

コグ二ステップのやり方:3の倍数編

■ 両足を揃えて直立し、1から数をかぞえて「3」の倍数で手をたたく(認知課題の確認)
■ 右足を右側へ出し、右足を戻し、左足を左側へ出し、左足を戻す(ステップ課題の確認)
■ 認知課題とステップの確認が完了したら、いよいよコグニサイズに挑戦
■ 左右にステップを踏みながら数をかぞえ、「3」の倍数がきたら手をたたく
■ リズムよくステップと拍手を繰り返し、約10分間続ける(目標心拍数に気を配りながら)

家族や友達と一緒に、グループでコグニサイズ

3〜5人で楽しく取り組む認知症予防

コグニサイズは、一人だけで行うものだけではありません。家族や友人と一緒に、楽しく取り組むこともできます。
先ほどご紹介した『コグ二ステップ』を3〜5人一組で行う場合は、人数に応じて3や4の倍数で手をたたく認知課題を設定し取り組みましょう。
慣れてきたら、数字を変えたり、数を数える順番を逆まわりにしてみると良いでしょう。
また、しりとりをしながらステップを踏む方法も効果的です。2人前や1人前の単語をステップに合わせて言ってから自分の番になるやり方も、認知課題の設定レベルが高くなりおすすめです。

普段の散歩も工夫ひとつで『コグニウォーク』に

室内で行う『コグ二ステップ』だけでなく、家族や友人と屋外に散歩へ出ることも、清々しい運動になります。
運動効果を高めるために、上半身を起こし、しっかり腕を振り、できるだけ大股で、早めのピッチで歩く。それだけでなく、ウォーキングに合わせて「しりとり」をしたり、「計算問題」を出し合ったり、「川柳」を読み合うなどの工夫を盛り込めば、頭の体操も組み合わせた『コグ二ウォーク』となります。

安全に行うための『コグニサイズ実施の10カ条』を要チェック

筋肉と脳の両方に“刺激”を与える健康習慣を

コグニサイズは、世代を問わず、世代を超えて、気軽に始められる認知症予防の運動です。
からだを動かしながら、頭も使って、筋肉と脳の両方に“刺激”を与える健康習慣を生活にとり入れてみましょう。
その際は、コグニサイズを開発した国立長寿医療研究センターが発表している『コグニサイズ実施の10カ条』を守ることが大切です

■ 1条/ 無理はしないで徐々に行う
■ 2条/ ストレッチしてから開始する
■ 3条/ 水分を補給する
■ 4条/ 痛みが起きたら休息を取る
■ 5条/ トレーニング中の転倒に注意
■ 6条/ 少しの時間でもできるだけ毎日行う
■ 7条/ 「ややきつい」と感じるくらいの運動を行う
■ 8条/ 慣れてきたら次の課題にうつる
■ 9条/ トレーニング内容は複数の種目を行う
■ 10条/ 継続がもっとも大切

適度な運動、正しい食生活、十分な睡眠時間を心がけて

超高齢化社会の訪れが迫る日本において、コグニサイズは、認知症や軽度認知障害(MCI)の増加を防ぐ取り組みとして有効です。
とは言え、コグニサイズを行っているだけで、十分な認知症予防にはなりません。日頃から適度な運動、正しい食生活、十分な睡眠時間などを心がけ、元気に年齢を重ねられるように過ごしていきましょう。

https://www.ncgg.go.jp/cgss/department/cre/documents/cogni.pdf

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